Author : ヤマザキマリ
Total Page : 182
Publisher : エンターブレイン
Publication Date : 2009-11-26
テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)
>> お風呂に入りたくなる
職場で話題になったので、買って読んでみました。面白い!発想の勝負です。これを作品にしようと思った作者もすごいですが、これにオーケーを出した編集部がもしかしたら最大の功労者なのではないでしょうか。風呂をはさんで古代ローマと現代日本を行ったり来たりだなんて、いきなり作品にできるのは日本のマンガしか考えられません。さもなければアニメでしょうか。日本のマンガ文化はすごいものだと思いました。
日本のおじいちゃんやおばあちゃんがみんな幸せそうな、いい顔にかかれてるのもいいですね。お風呂につかって、はーとやってる表情がすばらしいです。風呂に入りたくなりました。
>> たしかに面白いし、なにげに小技が効いているのがよい。
この作品の面白さについては、いまさら私が付け足すまでもなく、
他のレビュアーの皆さんが詳しく解説してくれているので、
小技が効いていて思わず笑ってしまった点について少々。
まず、第2話で日本の露天風呂に迷い込んだルシウスが、
借りた浴衣をトーガ風に着こなしている絵に、ややウケてしまった(笑)
旅館のおっさんが「?」みたいな顔をして、額に一筋汗をかいているのもいい。
それと、第3話で今度はヘルパーと間違われたルシウスが、
老人のかぶるシャンプーハットを見て思わず目が点になり、
「冠!? この老人はこの種族の族長なのか!?」と思いっ切り勘違いするのだが、
バックの「カエサルらしき人」が月桂冠をかぶっている絵には超ウケました(笑)
文化のギャップに由来する勘違いのおかしさについて、
「クロコダイル・ダンディものに過ぎない」とか言われればそれはそうなんだけど、
温泉卵と日本酒のうまさに驚き、「何なんだこのとてつもない心地よさは……」
「ふは〜」とかなごんでいるルシウスの姿に、読んでいるこちらもついついなごんでしまった。
あと、これは他にも何人か書いている人がいるが、
設定をハドリアヌスの時代にしたのはやはり成功していると思う。
稀代の建築マニアであるハドリアヌスの別荘が、ルシウスみたいな庶民の目には
まるで一つの街のように見えてしまう、ということが追体験できるのも面白かった。
>> 惜しい.書き下ろし読み切りにすれば傑作になったのに……,
事情はあるのだろうが、書き下ろし読み切りにすれば傑作になったのに…
非凡な発想だが長続きはしない短編の発想だ。
風呂好きで、風呂の設計技師であるローマ人ルシウスが現代の日本にタイムスリップして
日本人の優れた風呂文化を学んで帰る。日本人の自尊心も少しくすぐる仕掛けである。
現れた場所は
・富士さんのペンキ絵がある東京の銭湯
・サルもはいる山間の露天風呂
・介護年代に入ろうとしている老人のいる家庭風呂
・都心のお風呂のショウルーム
・百姓の傷を癒す農閑期の秘湯
つまり、このアイデアでは同じことの繰り返しになるしか無い運命にあるのである。
苦しくなったら風呂以外に広げてウォシュレットとかも出して と思って読み進んでいったら、
なんと一巻の最後では、仕事で留守ばかりしているルシウスの妻が出ていってしまったのである。
うーん、そっちへ行くか。そっちへ言ってダラダラ伸ばしの世界に入って行くと
作品が泥沼にハマるかもしれないぞ。と心配しながら2巻を待つのであった。
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