Tuesday, December 21, 2010

アクセル・ワールド 6 (電撃文庫 か 16-11)

Author : 川原 礫
Total Page : 315
Publisher : アスキー・メディアワークス
Publication Date : 2010-10

アクセル・ワールド 6 (電撃文庫 か 16-11)
>> 良い引きでした
謎の組織「加速研究会」による「加速世界」そのものへの侵攻

「災禍の鎧」による「シルバー・クロウ」の汚染

2つの問題を引きずった今巻は、「加速世界」の最高意思決定機関「七王会議」に

より、今後の方針を決定する所から始まります。

「加速世界」「ネガ・ネビュラス」「シルバー・クロウ」のゆくすえは・・・



 今巻では、以前より存在だけは語られていた「純色の七王」および「旧・ネガ・ネ

ビュラスメンバー」のことが掘り下げられています。これまで気になっていた設定も

(一部?)明かされ、続刊の楽しみがさらに増してきました。

 「加速世界」/「レギオン」内部での絆や、「ハルユキ」のちょっとした成長がみ

られた点が良かったので気持ちよく読めました。―前巻で切らなくて良かった〜
>> ネガ・ネビュラス解散の謎が明かされる
 ハルユキは、ヘルメス・コード縦走レースの最中に起こった戦いの中で、赤の王スカーレット・レインの手により消滅させられたはずの災禍の鎧を呼び戻してしまった。この状況を打破するため開かれた純色の七王による会議の結論は、7日以内に災禍の鎧を浄化することが出来なければシルバー・クロウの首に懸賞金をかけるという、事実上の追放処分だった。

 その処分を回避するために、黒雪姫は災禍の鎧を浄化するための秘策を用意する。それには、初代ネガ・ネビュラスの四元素の一人、アーダー・メイデンを呼び戻す必要があった。



 今回のバトルの舞台は千代田区一丁目にある広大な敷地、皇居。通常対戦フィールドでは障壁があり侵入できない皇居だが、無制限中立フィールドでは四つの門を四神が守護していて、それらを倒さなければ中には入れない。しかし、歴史上、彼らに挑んで勝つどころか、無事に帰ったものすら少ない。

 そんな、純色の七王をも遥かに凌ぐ力を持つ彼らの縄張りに踏む込まなければ、ハルユキのバースト・リンカーとしての命運は尽きるという、二律背反的な状況に陥ってしまう。だが、陰湿な策謀に対してゴチャゴチャやるよりも、強大な敵に挑むという構図の方が、本来の設定から言うと遥かにふさわしく、面白い。

 また、これまであまり深く触れられてこなかった、初代ネガ・ネビュラス解散の謎についても、今回の展開と自然に絡む感じで語られている。



 ストーリーとしては次回に続く形になってしまっているし、加速研究会や心意の力に関する話題は棚上げされた感じになっているが、一冊の構成としてはそれなりに収まる形になっていると思う。
>> 軍団再編篇スタート
 バーチャルと現実をひとまとめのリアルとして扱う『アクセル・ワールド』シリーズの最新刊。「ゲームではあるが遊びではない」世界を描く筆者の最新作。



 一つのチームとしてまとまった主人公達の《ネガ・ネビュラス》は諸事情から旧メンバーに再び声をかけ始め……という新展開の第一巻目。アクセル・ワールドに設定されたラスト・ダンジョン(?)が明らかになり、主人公達はつぶし合い以外の「もう一つのゴール」を目指して新たな戦いに挑む。



 キリトという絶対的ヒーローが物語を解決していく『ソードアート・オンライン』と異なり、『アクセル・ワールド』は団体戦を強く意識して作られている世界です。幼い身体と不釣り合いな成熟のアンバランスを仲間で救いあって成長していくという骨子は、前巻までのコアな人間関係を核にして、より広い世界へと進んでいこうという気配を見せています。



 アクション面ではやや物足りない出だしですが、新登場のキャラクターや七王登場・展開の説明など押さえるポイントの多い巻ですので、シリーズを追っている人には必読だと思います。未読の方はまず一巻から!





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