Tuesday, December 7, 2010

キノの旅 14―the Beautiful World (電撃文庫 し 8-33)

Author : 時雨沢 恵一
Total Page : 260
Publisher : アスキー・メディアワークス
Publication Date : 2010-10

キノの旅 14―the Beautiful World (電撃文庫 し 8-33)
>> 作者さんの表現力に脱帽
キノの旅シリーズは1〜13を全て読破していて、今14巻を読んでいます。このシリーズの特徴を自分なりの解釈をすると、話自体はどちらかと言うとショートストーリー形式で構成されていますが、話を読み終えた後、必ずなにか「心」に残る物があり、それについて自分なりの解釈を見つけていく楽しみがある、といつも思います。先程記述した通りショートストーリー形式なので仕事の合間に読む事も出来るので今でも気軽に読む事が出来るのも魅力です。下手にコメディーに走ったりもせず、シリアスな世界観の中に凄い綺麗な部分と酷く醜い部分も含まれていて、その表裏一体の構成の仕方も凄いの一言に尽きます。ここまで自分が記述した物だけだと難しい小説のような感じがしますが「ライトノベル」として刊行されているので表現の仕方は読みやすく、中学生位の学生さんでもきっと楽しめる内容だと思います。前記したとおり一話づつがショートストーリーなので最初に14巻から読んでみても自分的には問題無いかと。むしろ、登場キャラクター達の相関図に興味が持てると最初の巻から読んでみたいと、興味が湧いて来ると思います。最後に自分はこのシリーズが凄い好きなので自分の感性も含めたレビューになったかもですが、従来のファンにも、これから読んでみようかなと思っている方も、皆さん楽しめる作品だと思います。解りにくいレビューだとしたら申し訳ないです。
>> 現実にもありうるキノ
キノの旅14巻です。今回は重い内容の話が多かったと思います。特に戦争に関するようなこと、正義や現実の悲惨なところなど。キノはいつもの通り積極的には関わっていかない一歩引いた立場です。今回の話はどれも、「現実にこういうことってあるよなあ」「現実でもあるんじゃないか?」と思わせる話でした。そしてその問題なところが、浮き彫りにされて伝わってきます。「正しい国」―WAR=We Are Right!―なんかは、現実の某超大国や某釣魚島の問題とか、そこにある問題にも関わってくる話ではなかったかなと思います。政治経済書や時事ニュースの本なんかよりリアルに伝わってくるものの多いキノ14巻です。
>> 読者のまえがき〜Instruction&Report〜
第一巻を出されてから作者の時雨沢先生は今年で作家生活十年目に突入されるとのことです。

おめでとう御座います。



アニバーサリーな感じですがしかし、

本編も「あとがき」もこれまで通りの流れを汲むものとなっています。

きっと今まで通り楽しめるかと。



最近のキノの旅は我々の現代社会の風刺が多分に含まれるようになりました。

今の国内事情を時雨沢先生がどのように眺めているのかが少し見て取れる気がします。





また作中取り上げられる対象の傾向も変化してきていると思います。

初期の巻では登場人物「個人」の思想がキノの視点を通して写し出されていましたが

最近はキノが訪れる国の政治事情にフォーカスがあてられている気がします。

とくに戦争、国防、外交あたりが顕著かと。





一巻からの読者としては、言いたくはないけどそろそろキャラの掘り下げを開始して

物語を収束させてもらいたいなぁとは思います。



デビュー作で十年。並々ならぬ苦労があったと思いますし、

先生ご本人の思い入れも相当とは思いますが

そろそろ頃合なんじゃないかなぁ、と勝手ですが思って仕舞います。



なんにせよ、キノの旅は三巻ごとに一区切りさせる事を

時雨沢先生は意識されているそうなので、ひとまず次の十五巻が楽しみです。



No comments:

Post a Comment