Sunday, November 28, 2010

残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法

Author : 橘玲
Total Page : 263
Publisher : 幻冬舎
Publication Date : 2010-09-28

残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法
>> 知らない人には面白い。と思う。
進化論や利己的遺伝子関連の本とゲーム理論、社会実験の小ネタ、最後にひとつまみ「ウェブ進化論」を混ぜて割った様な本。



世間に流布する自己啓発モノへの違和感という点は理解できるし、著者の語り口は好感が持てるのだが、上に挙げた様な本を既に読んでいる人ならば、どれも随分と知られた話で、結論を含め内容的目新しさはあまり無い。自己啓発への違和感に対する本としては、やや小ネタ語りが多過ぎるきらいもある。



しかし、これらの知識が全く無かった人が読んだ時には、ダイジェストとしてそれなりに刺激的で、面白く読めるだろう。本書の様な内容が、分かりやすい装丁・タイトルによって出る事自体は、良い事だと思う。
>> ネタ切れでしょうか?
著者の書籍はすべて読んできました。

小説に至っては、その文筆力に驚愕し、ハラハラドキドキしながら読んだものです。



ただ、最近の著者の本は知識を寄せ集めてひとつのテーマについて紹介するだけの、編集者的な著作になってしまったような気がして残念です。

知識の寄せ集めなら小利口な人間なら誰でもできること。

もちろん、その配置は絶妙ではありますが著者自身のパッションが感じられません。



個人的なお願いとしては、もっと小説を書いて欲しいと切に願っています。
>> コップの中の嵐
社会科学系の様々な理論(特に複雑系やネットワーク論)

を元に今の世の中の仕組みを

解説してくれています。

文中にもいろんな書籍の書名が出てきて

大変博覧強記な方だとは思いますが、

その範疇で全てを結論付けてしまっています。



「勝間和代と香山リカのバトルが社会現象になった。」

と書かれていますが、

こんなことは一部の人しか知らないことで

社会現象というのは大げさで

全体を通してこんな感じの捉え方の話が

多いです。



他のレビューでかなり触れられている

才能の遺伝の話にしても

一般感覚では皆普通に思っていることですし、

誰もがイチローにはなれませんが、

何の練習(努力)もしなくてイチローになれない

ということも同時に事実だとは思います。



ただ、大変な数の書籍の中から

興味深い理論をピックアップして

話の筋を組み立てているので

自分のアンテナに引っかかったものだけ

詳しく勉強してみるだけでも

価値があると思いました。



「評判市場」の話などでは

こうやって自分が書いている

レビューについても考えさせられました。



好き嫌いは別として

現代日本社会を考える上で

一読の価値のある本だと思います。

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