Saturday, March 12, 2011

ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)

Author : 楠木 建
Total Page : 518
Publisher : 東洋経済新報社
Publication Date : 2010-04-23

ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)
>> この本の独自の立ち位置とは何なんだろう。
物語、ストーリーが流行っている中でタイムリーな本だと思う。また、このソフトなタッチが読みやすく、本書で紹介されているケースの面白さを引き立てている。また戦略論の用語を巧みに言い換えて、分かりやすく提示している点は、戦略論の本を読んでもいまいち自分の言葉にならない私にとっては、大変に助かる。その意味で☆3つ。あとの2つが付けられないのは、下記の理由による。



一読して、ハッと思ったのは戦略の「なに」と「なぜ」を書いて「ある戦略が高い成果を上げる理由」を語り尽くした感のある伊丹氏の『経営戦略の論理』という本と何が本質的に違うのだろうということである。伊丹氏は「変革のシナリオ」という言葉で、まさに「ストーリー」の因果論理を語っているのではあるまいか。大変気になった。



そして、皮肉ではあるが、伊丹氏の本の方が「読みやすくはないが読ませる」し、「事例にあふれているが論理的」である。例えば、本書p.362に「自滅の論理」が語られている。大変面白い論点だと思う。けれども、『経営戦略の論理 第3版』のp.139に「自分で自分の首を絞めさせる」という項がある。すでに核心は語り尽くされていると思う。



最大の疑問は「生き生きとした戦略論」を標榜しているわりには、その核心が空洞に見えることである(一見そう見させて、でも実はね・・・というのなら納得できるが、そうでもなさそうである)。例えば、本書viiにある「社内外の人々を面白がらせ、興奮させ、彼らを突き動かす力を持っていること、これが戦略が成功するための絶対条件です」と書いていながら、その突き動かす力の波及プロセスがあまり語られていない。つまり、組織の話は書いていない(戦略の話だからしょうがないとしても伊丹氏の『経営戦略の論理』も戦略の話だが、ちゃんと組織の問題が書いてある)。上記の伊丹氏は、その後「場のマネジメント」というコンセプトも打ち出し、そうした波及プロセスの「流れ」を模式化しているし、『経営戦略の論理』にて、すでに「人間くさい」戦略を語っている。



ワクワクして面白ければ良いのだろうか。淡々としていても「クール」といわれるのもけっして悪くはないと思うのだが・・・。ストーリー「としての」だからしょうがないのだろうが、ストーリーなら歴史書や歴史小説を読んだ方がたぶん、別の意味でもっとインスパイヤーされると思う。論理的でないから覚醒される。だから近年、暗黙知や無意識が注目されるのではないだろうか。私の気のせいなら、構わないが・・・。
>> 戦略本、経営本としてトップクラス!
戦略論のある意味王道を行きつつも大変ユニークな本。ストーリーとして面白いものが戦略として優れているという発想が斬新。

そしてストーリーとしての競争戦略を実際に論証しているところがこの本の真骨頂だと思う。



言われてみると当たり前のことなんですが、気がつかなかったと思わざるを得ないことが多々ある。

目から鱗ものです。多くの人が茫漠と考えていることを鮮明に描いて見せることが真のオリジナリティである。



読んで気づかされることは色々あるが、なかでも5章の持続的な競争優位の論理はこの本のハイライトだ。

なぜこうした論理がこれまでなかったのか、かえって不思議になるぐらいの説得力をもって迫る。



タイトルどおり。この本それ自体が流れをもつストーリーになっている。

上品な文章、圧倒的に読みやすい!500ページが一気に読める。



私は楠木先生の講義を、HBAのショートコースで何回か受講したことがあります。

はじめっから、終わりまで、笑いっぱなしの面白さ。

その先生が、こんな素晴らしく深遠な本を書くなんって・・・感慨深いものがあります。
>> 面白い
既存の戦略論を実務に応用する際に陥り易い過ちに気付かせてくれる本です。

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