Sunday, February 20, 2011

デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)

Author : 藻谷 浩介
Total Page : 270
Publisher : 角川書店(角川グループパブリッシング)
Publication Date : 2010-06-10

デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)
>> 目からウロコの正体
多くの人がなんとなく考えているのは、現代日本の最大の問題は「少子高齢化」という言葉に表される人口問題だが、それよりも「デフレ不況」の克服が焦眉の課題だいうことではないだろうか。本書はこの二つの課題に公的データによってブリッジを架けるーー問題の根源は同一であると。そこが「目からウロコ」である。
>> 団塊の世代という人口のボリュームゾーンから経済変動を見る
 人口の増減、世代別増減が後々の経済規模と業界毎の業績の増減に如何に影響を与えるかを論じた一冊です。

 版元によればかなりの売れ行きを示している。そして、論争の焦点にも浮上している模様だ。

 輸入代理店の如く直訳経済理論を振りまく学者ではなく、四半期データ分析の経済アナリストでもなく、著者の藻谷は日本各地を回り足で稼ぎ経済実態を説明できる本書を著した。

 提言部分の「ではどうすればいいのか」には、それだけで?との思いもあるが、この著者にそこまで要求するのが筋違いの様な気もする。

 編集者のアシスト能力がやや不足と思われる文章表現と全体構成である点を割り引かなければならないが、「不況」と単純に分析されている部分に対し人口構成とボリュームの推移からの説明が納得感を得られる。

 次回作は、編集者を変え、より読み易さと表現とバランスに気を配った一冊をものにして欲しい。次回作が期待される。


>> 個人的には池田信夫氏の解釈に同意したい
話題の書の様で、図書館の予約で随分と待たされた。本書については著名ブロガーが多数レビューしており、それらは大別すると本書の着眼点を礼賛するものと本書が提唱する解決策を疑問視するものだろう。
前者の代表例が小飼弾氏、後者の代表例が池田信夫氏、であろう。
著者の人口動態的な検証自体は否定しないが、個人的には池田信夫氏の解釈に同意したい。そして、これ以上新たな政策を繰り出して、あたら経済社会の現場を混乱してもらいたくないと思う。
かつて(約3年前)、エコノミストのフェルドマンは建築基準法改正と金証法改正と貸金業法改正を「日本の政策ミス3姉妹」と揶揄した。今にして思えば、確かにそれらがなかりせば、いささか違った日本経済の展開だったのではないかと思う。
著者の政策提言を非難するわけではないが、解決への道は違うところにあるような気がする。

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