Wednesday, February 9, 2011

神様のカルテ 2

Author : 夏川 草介
Total Page : 320
Publisher : 小学館
Publication Date : 2010-09-28

神様のカルテ 2
>> 人気シリーズの誕生
 人気シリーズ誕生!若手人気俳優起用の映画化決定で弾みがついた。漱石もどきの栗原センセイの語り口が、物語全体をユーモラスに一段軽く仕上げている。ここが魅力。新キャラクター大学同期の進藤センセイを導入し、作品世界を活性化した。中盤からは影の薄かった副院長にスポットを当て、既出キャラクターも大切にしている。

 章立てを花の名にし、信州の季節感や山岳風景を無理なく織り込んでバランス良く仕上げている。ハルさんが山岳カメラマンという、意外性だけかと思ったキャラクター設定が、2では存分に生かされている。


>> 人間味あふれる良い作品。
前作よりもページ数が増しその分内容もより濃くなっている。

登場人物一人一人の人間的な魅力は前作同様だが、今作では

医者である前に人間であるという部分が色濃くでていると思う。

なかでも、内藤先生が病に伏した時のみんなで協力し、

素敵なプレゼントを贈るところは泣けました。
>> 色鮮やかな人間物語!―人間と医師の境界線の狭間で・・・
  すでに3本のレビューがあり、本書への評価はおおむねそれらと一致していますので、あえて私がレビューを書く必要はないのかもしれませんが、何らかの感想程度の文章は残しておいたほうがいいと思いました。前作を読んで次回作を待ち望んでいたという理由もあるでしょう。前作よりも厚い(熱い)です。



  端的な印象をいえば、「実に良かった、素晴らしかった」ということに尽きるでしょうか。レビュータイトルにした「色鮮やかな人間物語」とは、本書には人間をめぐる実に多様なドラマが、信州長野の情景に重ねながら描かれていることを示しています。「良いこと」も「悪いこと」も、「悲しいこと」も「嬉しいこと」もほとんどすべて。非人間的な労働環境を強いられている主人公の苦闘ぶりは健在で、そこでは時間の流れが非常に速く進んでいます。季節感に満ちた自然描写をふんだんに盛り込むことで時間が緩やかになり、本来の人間的な感覚を辛うじて維持している姿もわれわれの心を打つものがあります。主人公が発する「言葉」もなかなかで、本当にこんな人間が近くにいたらと想像力を逞しくすることもできるでしょう。会話のやり取りも実に新鮮です。



  本書は「人間と医師との境界線」が1つの大きなテーマになっています。このテーマが投げかける意味は重く、単純な話ではありません。医師であろうとなかろうとわれわれはこうした問題に無頓着ではいられない気がします。幅広い世代の方に読んでほしい作品です。本書を読んで疲れ果てている人も「もう少しだけ頑張ってみようか」と思えるような気がします。本書はすでに10万部を越える売れ行きらしいのですが、読まれる本というのはやはりきちんとした理由があるのだなとあらためて感じているところです。続編が刊行されたばかりで気が早いのは百も承知なのですが、いつかまた「カルテ3」が読めることを期待したいとおもいます。今回も素敵な物語をどうもありがとう。





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