Author : ジェームズ・C・コリンズ(James C. Collins)
Total Page : 316
Publisher : 日経BP社
Publication Date : 2010-07-22
ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階
>> 「成功とは、倒れても倒れても起き上がる動きを果てしなく続けることである。」
本書は、かつて「ビジョナリーカンパニー」として取り上げた企業のうち、その後衰退していった企業11社についての分析を行ったものである。
これらの企業を、同業種の比較対象企業と並べてみることにより、その企業の経営判断の誤りが浮彫りにされる。
こうしてみると、かつてアメリカで輝いていた企業でさえも、今や見る影もなくなってしまうことがあるということが実感できる。
注目すべきは、企業の発展から衰退に至る4つの段階のうち、絶頂期とされる段階からすでに衰退の兆候が現れているという点である。
ましてや日本でも、かつての絶頂期から衰退の道を歩んでいると思われる企業が多く見られる。もちろん、この国自身にもあてはまるのではないかと推察される。
そう言う意味では、本書の第8章と付録の3つの危機から立ち直った企業の事例が参考になる。
「成功とは、倒れても倒れても起き上がる動きを果てしなく続けることである。」
本書の主題はここにあると言っていい。
>> 第4段階、一発逆転策の追求
衰退してしまった企業、衰退の危機から復活した企業を
鋭く分析し、衰退の仕組みを解き明かした一冊。
特に気に入ったのは、第4段階。
リスクと問題を否認することで行き詰まり、
衰退が始まった頃の分析だ。
転落を食い止め、反転させたいならば、
一発逆転を狙うことが、最も合理的に見えるし、
外部から人材を入れたり、考えられることのすべてを
行うケースも多い。
だが、これは、実績からいえば、衰退を早めるだけで、
成功する確率は低いという。
「反転させたいなら、すべきでないことは行わないよう、
厳格な姿勢をとるべき」という点は、忘れないようにしたい。
>> ビジョナリーシリーズ完結編
経営本のベストセラー「ビジョナリーカンパニー」の(いわば)完結編。
パート1は、継続性(永遠に偉大である)企業を、パート2は、よい会社から偉大な会社に進化する企業。
そして、このパート3では、偉大から平凡に転落する企業を分析している。
本書の内容は、転落(衰退)のプロセスを5段階に分け、どの企業もその5段階を経て転落に至る、というもの。
本をまとめる時に、リーマンショックが発生、それを機に衰退した大企業の実例もあり、いっそう説得力がある。
と同時に、衰退から復活した企業も取り上げており、希望が見出せる内容となっている。
出典が多くそこが気になるが、本来は学術書であるため、好意的に受け取るべきと思う。
文句なく素晴らしい本、「不朽」という枕詞が大げさでないと思います。
No comments:
Post a Comment