Author : 小池 龍之介
Total Page : 226
Publisher : 小学館
Publication Date : 2010-02-09
考えない練習
>> 考える事に対する第三者的な視点のもち方
この本を書店で見つけたときは、日々悩み、のた打ち回っている状態で、そのことに何か解決策を見出すためにどうすればいいのか、考え続けていました。
それが、「考えることより感じること」を薦める内容で、たちどまることができたのです。
「考え」は暴走し、やがて妄想になる。
それを見つめ、自分を諭す第3者的な視点の培い方を教えてくれている本だと思います。
特に「脳」を信用するな、というくだりが新鮮でした。
考えなければ解決できないと思い込んでいたので。。
脳が刺激を、特に強い刺激を求めるのだ、とありましたが、巻末に脳科学者との対談があって、下等な動物の脳は確かに、生存のために「不快」な情報に強く反応するようになっているが、人間では快楽を感じるところが別になっているという研究結果もあり、興味深かったです。
性格なのでしょうが、私にはドンドン悪い方に考える癖があったので。。
仏教というのはお葬式や建築物のためのものではない、哲学なんだったという事をそっと教えてくれます。
考えすぎても解決しない苦しみをお持ちの方は是非一読してもらいたいです。
>> 瞑想は道具である
実社会を知らない坊さんの世迷い言、という評があったのであえて読んでみた。
若いころ、禅宗の坊さんの本を何冊か読んだが、ただの現実逃避ではないかと感じたことがあるからだ。
最後の対談で、池谷裕二氏が単刀直入に聞いている。
瞑想というのは現実逃避ではないかと。
著者は、瞑想は目的ではなく道具であると答えている。
瞑想が目的になっていた時代もあったという。
この本は、「平常心」という道具をどうやって整えるかについて書いているので、
そこから先、勉強や仕事にどう反映させるかは、べつの問題なのだと思う。
日々の生活で、心の乱流に苦を感じるひとは、この本を読まれるとよいだろう。
>> 「聞く、話すの戒」がHIT!
こういう宗教や生き方、対人関係についての本は
全面的にはうなずけなくても
一点でもピンと来て役に立てばそれは「読んでよかった本」だと思います。
そういう意味でこの本には私にとって役立つポイントがあってとってもよかったです。
それは「聞き方、話し方」の章。
仏教には「聞く話す」に関する戒めがしっかりある。
それがまず新鮮な驚きでした。
そう言えば落ち込んだりイヤな気分になったりする時は
ほとんどの場合「聞く話す」に関係している!
不妄語、不綺語、不悪口、不両舌それぞれの解説がわかりやすくて
とっても納得できました。
このシンプルなポイントを押さえることで
しゃべりすぎや言葉たらずで起きてしまう不快でムダなストレスが軽減されました。
子育てやパートナーシップの章ははっきりいって観念的で微苦笑ものですが
それもこの著者の若さからすればアタリマエで清らかですらある。
悲観的でもなくおどろおどろしくもなく
なかなかステキな仏教本でした。
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