Author : 浅田 次郎
Total Page : 456
Publisher : 講談社
Publication Date : 2010-10-15
中原の虹 (4) (講談社文庫)
>> 期待はずれ感が・・・
1Q84の3巻を読み終わった時のような脱力感が。。。。。
ここで終わるか?続編を待て、ということね。
浅田次郎が張作霖のことが大好きだというのは よ〜くわかった。しかしかなり作り込んでいる割に書かれていることが表面的なことに終始してしまっている感じである。浅田の好きなフレーズ「矜り高き〜」がふんだんに出てくるので「あ、またか」と思ってしまう(これ壬生義士伝だっけ?)。
歴史のお勉強みたいに途中途中で李自成や袁世凱や宋教仁や義和団事件などなどをwikiで調べながら読んだ。それはそれで面白かったのだが 張作霖の都合の悪いところをないものにしたいために日露戦争を書けなかったのではないかと思える。
満州族の侵攻の歴史と漢族の関係や紫禁城のことなど よく調べて史実に沿って書いているのだが近代史なので登場人物の処理がたいへんだったのだろう。
人物名その他に中国語読みのルビが「蒼穹の昴」より細かくふってあるのはサービスなのだろうが「えんせいがい」と読んだのではダメってことか。
泣かせ方(女性が心の中で男性を理解する場面など)は いつもの浅田節。
あまりにも激動の時代なので歴史に偏ってしまっている感は否めない。
>> 『蒼穹の昴』の続編で期待しすぎた感も…
この『中原の虹』という作品。
同作者の『蒼穹の昴』という作品の続編になります。
なので、登場人物はもちろんのこと、起こった出来事まであたりまえの様に引き継いで描かれています。
前作を読んでないとちょっと意味不明な部分もあります。
さて、おおまかなストーリーとしては、辺境の貧乏な少年が、長城を越え中原の覇者となる大将軍になるというお話。清国、革命軍、そして主人公率いる奉天軍の三つ巴、さしずめ三国志のようです。
しかしながら残念なことには、主人公達の行動がほとんど描かれずに対立する民国の描写が大半で、さらには前作に出ていたキャラクターのエピソードが多いためか主人公の軍の中にいる個性ある新しい登場人物が薄ーく感じます。
また、主人公が実際の歴史上の人物で正史に即している部分が大きく、それに物語のつじつまを合わせるようにと都合の良い人物が次々と出てくる。なので、頑張った感あまり感じられませんでした…。
主人公・張作霖の軍が描かれないことと相まって、「なんか知らない間に軍がデカクなってる」みたいな感覚になります。
もっと言うならば、日露戦争の部分を飛ばしているので、貧乏だった描写から急に大物になった張作霖が描かれ、もはや武力も知力も無敵状態。あんまり感情移入ができませんでした。
仁義に燃える、「好漢」を描くのが上手な浅田次郎氏なんですから、もっとシンプルに軍隊の男臭さと、戦争にまつわる非情な正義などをメインで書いてあったらなぁ。と思ってしまう作品でした。
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