Author : 樹崎 聖
Total Page : 208
Publisher : 講談社
Publication Date : 2009-07-09
10年メシが食える漫画家入門 悪魔の脚本 魔法のデッサン (アフタヌーン新書 9)
>> マンガにおける「万人に通じる基本技術」
絵を描く人は誰しも自分なりの方法論を確立して作家となってゆくものなので
万人に通用する理論、方法論はなかなか難しいのでしょう。
その結果としてかマンガ絵指南本のキャラクターの描き方のほとんどが、その作家なりのものでしかなく
一過性の価値しか持ち得ないものになっているよう思います。
そんな中でこの新書はあくまで基本デッサンでの描き方の応用に拘っているので普遍性が高いと思われます。
特に楕円パースのキャラクターへの応用は自分の絵というものを壊さずに技術レベルを上げるに打って付けでした。
そう気がついたところで脚本の話に戻ってみると
これも基本中の基本について書いているのだと気がつきました。
10年メシが食える・・・は編集部の要請に応えた営業用のタイトルに過ぎないと明かされていますが
いつの世にも通用する基礎技術の教本ですのでこれはこれでマッチしたタイトルであると思います。
版を重ねるごとに細部を修正し、書き足し、しかもそれを誰もが閲覧できるよう公式サイトに載せている事もポイント高いです。
>> 勉強になりました
基本技術の本ですねぇ。
半分は脚本、半分はパースの話。
ですからデジタルで描くにも紙に描くにも応用できる事ばかり。
面白く、ためになる新書でした。
>> “これから”10年は食えない
率直な感想は「10年メシが食える」というよりも、「10年メシが食えた」というタイトルのほうがしっくりきそうな内容でした。
確かに脚本・パースなど普遍的なテーマをまとめてあるので時代を問わず有用性はありますが、これからこの業界もデジタル化が進むし、そのことに関しては触れていないので「10年…、どうかな?」と思いました。
パースなんかもこれからはソフトウェアの扱い次第で自動的に設定してくれるようになったりするだろうし、質感表現・背景もテクスチャや写真素材を利用したものになるだろうし、電子書籍などのデジタルコンテンツになれば読者の「見方」も変わってくるし。
そういったコンテンツの変化を考慮した内容ではなかったので、少々古臭さを感じました。アナログ全盛期の理論というか。
あと論理展開する際に、「知り合いの作家の○○くんは〜」というように著名な作家を例に出すのもどうかと思いました。著者自身が商業誌で連載経験を持っているのですから、そこは自信を持って自らの経験に基づいて論理展開してもらいたかったです。読者にわかりやすいモデルとして著名な作家を例に出しているのでしょうが…。何というか…、読んでいて残念な気持ちになりました。
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