Author : ジェームズ・C. コリンズ
Total Page : 469
Publisher : 日経BP社
Publication Date : 1995-09
ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則
>> Built to Last(継続するための会社設立)
この本を『ビジョナリー』という言葉から興味をもったが
『ビジョン』は『ビジョン』でも狭義のビジョンであった
僕は会社のビジョンというと
社会的存在意義(広義)と結びつけてしまったが
本書はそうではなく
あくまでイチ会社の『ビジョン』の持ち方を記している
だからその会社が行っている
行為の良し悪しは置いておいて
トップランナーとして走り続けることができたことに主眼が置かれている。
そういう観点から言えば本書は星5だろう。
ポイントがとてもよく整理されている。
調査のアプローチが明確。(とくに比較対象企業の選定)
引き付けられたのは企業をカルトと対比していること。
(ついていけねぇ〜と思った)
ただ僕の期待ベクトルが違っていたので星3
PS
タイトル和訳の問題ですね。原書はBuilt to Last
(直訳:継続するための設立)
>> 主張は矛盾しているが働くことについておおいに考えさせられる。
ビジョナリーとはビジョンのある、理念を持った、と言う意味で
カンパニーは会社と言う意味だ。
題名は理念のある会社と言う著者の造語。
企業理念追求と短期的収益追求の両方を猛烈に行う企業かどうかが
No1企業とNo2企業の違いであると主張している。
50年以上続いており株価絶好調で他社の経営者からも一目置かれているNo1企業18社と
同じ業界のNo2企業を6年間に渡って調査結果を基に書かれている。
ウォルトディズニーとコロンビアピクチャーズ、
P&Gとコルゲート、など。
会社は利益と理念の両方を求めるべきであると言うのは耳障りの良い話だ。
働いていて会社の存在意義について悩んでいる人は読むと良いかもしれない。
労働者は株主と経営者のために現金を生むための道具にすぎないのかと
悲観的な気分になる時にこの本を読むと励まされるのではないか。
しかし、あえて批判的にこの本を振り返れば
企業理念履行と短期的収益計上の両方を猛烈に求める企業でも
No1企業でない例はたくさんある。
三井物産は総合商社の中でこそNo2だけれど企業理念と短期的収益の両方を
猛烈に成立させようとしているという意味では三菱商事を越えておりNo1企業ではないか。
企業理念と短期的収益の両方を猛烈に求めていなくてもNo1企業の例はたくさんある。
シャープはLGよりも短期的収益よりは工夫して良い物を作ると言う企業理念を優先させている。
業績・株価の推移こそLGの後塵を拝しているが液晶ディスプレイ製造業としてではなく
イノベーションを興そうとしている製造業の原点を追求しているという意味では
LGを越えておりNo1企業ではないか。
このように矛盾する反例はいくつでもある。
だからこの本が主張するように
企業理念と短期的収益の両方を猛烈に求める企業かどうかが
No1企業になるための必要条件とはいえない、と小生は考える。
ぜひ著者には企業理念と短期的収益の両方を猛烈に求めていなくともNo1の企業は本当にないか確認作業を行い、
さらには地域を拡大し日本企業編、新興国企業編、など米国以外でも同様の調査を行って主張を検証してみてほしい。
>> 素晴らしい翻訳・・・
同じくらい重要な書である「バリュープロフィットチェーン」の訳の拙悪さに比べ雲泥の差。いちいち辞書片手に原書に当る暇のない実務家にとって有難い。出版社も訳者を選別するくらいの配慮は払えって・・・とてもビジョナリーカンパニーになれそうもない。(笑)
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